写真館に木村氏・堀川氏が登場です!

椰子

 南方における最も象徴的な木といえば、やはり椰子の木ということになる。椰子は成長すると20mくらいの高さになり、どんな砂地にでも根を張れる、たいへん生命力のある逞しい木である。椰子の実は、飲んで食べることができるので、島に数本の椰子の木があれば、とりあえず生きていくことができる。また、椰子は南方におけるジャングルの形成上、たいへん重要な役割を果たしている。環礁の上に真っ白な砂だけでできている砂州が、物年後に見事なジャングルを形成しているということがよくある。それは一体、どのように作られていくのか?

 初めに大きな島に生えていた椰子の木から椰子の実が落ちる。それらのいくつかが川に落ち、滝に向かいやがて海に流れ出す。何日も何日も海面を漂う。そのうち環礁内の海流に乗って、外洋近くの砂州の浅瀬へと運ばれる。数日その浅瀬で漂っていると、強風が吹いて海が荒れだし、大波が立つ。そして漂っていた椰子の実は、環礁の砂州へと打ち上げられる。更に数日が過ぎるとフットボール状の椰子の片側から芽が出始め、同時にもう一方から根が出始める。そしてその根はどんどん成長していく。どんどんと砂中へ潜り込む。そして、しっかり根が張れると、横になっていた椰子の実が縦に起き上がる。その間に芽からは1枚の緑の葉が顔を出し、茎はどんどん太陽に向かって成長していく。
 そうして砂州の至る所で一斉に椰子の木が成長し始める。やがて3〜4mまでに成長するとはじめて30個ほどの椰子の実を実らせる。最初に椰子が砂州に辿り着いてから4年の歳月が流れている。
 成長した椰子の木々には、鳥達がやってくる。たくさんの植物の種や小さな虫などを運んで来る。アジサシなどの白い海鳥達もそこに住み始める。様々な鳥達が椰子の木の回りで生活し始める。運ばれて来た種も芽を出し、風の影響に耐えられる種類からどんどん成長していく。
 そして、植物が花を咲かせる様になると、今度はその花の蜜を吸いにミツスイ(ハチドリ)などの鳥達がやって来て、そこに住むようになる。椰子の葉が生い茂り木陰ができると、シダ類の植物も成長し始める。そうして緑豊かで立派なジャングルが形成されていく。

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