写真館に木村氏・堀川氏が登場です!

「三人の賢者」と「老人とふんどし」

 南方の暮らしぶりをたいへんうまく表現した小説ものの中にこんなのがある。

ある南の島に、若者が都会から仕事の為にやって来た。毎日忙しく働いていた。そして、毎日椰子の木陰でじっとしている三人の老人達が、その様子を伺っていた。ある日、若者があまりにも忙しく右にいったり左にいったり動き回るものだから、老人の一人がこう尋ねた。「毎日忙しく働いているけど何故そんなに急ぐのかね?」と、すると若者は老人に向かって「はい!私は今一生懸命働いて、将来南の島でのんびり暮らしたいんです。」と答えた。それを聞いた老人達が三人で話し合い、また別の一人がこう尋ねた。「するとあんたは今わしらがしていることを将来やりたいというんだね?」と。そしてまた別の老人が首をかしげながらこう呟いた。「それなら今すぐにでもやれるんだがなぁ。」と・・・。

ある日、政府から派遣された若者が島の州知事に会うためにやって来た。若者は初めての土地で道に迷い、道なき道を歩き、ジャングルをかき分け灼熱の太陽の下を汗だくになって、政府の建物を探し回った。やがてジャングルを抜け出して小さな道を登った所で、ようやくそれらしき大きな建物にぶつかった。その建物の入り口には、「GOVERMENT OFFICE」と書かれてあったので、「よし。ここだ!」と思い、知事の部屋を探したのだが一向に見当たらない。すると門のところにホウキを持って掃除をしているふんどし姿のおじいさんがいたので「あの、州知事に会いに来たんですけど・・・。」と声をかけてみた。老人はヨタヨタ歩きながらやって来て「州知事ね。じゃぁ、わたしについてきなさい。」と聞き取りにくい英語で答えた。若者は老人に言われるままついいていき、ひとつの部屋の中に案内された。若者がどこに知事がいるのかと部屋の奥を覗き込んでいたら、いきなりその青いふんどし姿のおじいさんが上に背広だけをはおり、若者の肩を後ろから「ポンポン」とたたき、「ところで御用はなんですかな?私が知事ですが・・・。」と言ったそうである。

第一話は、人は何の為に生きるのかということを考えさせる、たいへん奥が深い話といえる。またこの第二話は人を外見で判断していけないという、教訓である。また頑固なまでに昔ながら伝統文化を守ろうとするこの老人の気持ちと同時に西洋文化への憧れというものが、上半身が背広で下半身がふんどしというちぐはぐな形で現れてしまったものともいえる。

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